MBA流 大人の学ぶ力

MBAのフレームワークやマネジメント理論を応用しながら、ビジネス・社会問題から何が学べるかを考察します。by 若林計志

自分で語る言葉と経験を持つ(人間ウィキペディアからの脱出)

私見ですが、人間には「インプットの時期」と「アウトプットの時期」があると思っています。学びの作法で言えば「守破離」の「守」は、まさに「インプットの時期」に当たります。

 

ここで気をつけたいのは

 

1)インプット自体が目的化してしまわないように注意すること

2)アウトプットを前提として、インプットすること

 

の2点です。

 

まず1ですが、どんな世界でもそれなりに面白い世界が奥にあるので、知識オタク化してしまうリスクが常に潜んでいます。言い換えれば、「人間ウィキペディア」の罠に陥ってしまう可能性があるのです。

 

私自身の例で言えば、経営学がそれなりに面白かったので、どんどんのめり込こました(というより現在もそうです)。また仕事上、メディアによく出て来るような”エラい人”に直接触れる機会も多かったので、

 

「●さん(←偉い人)から直接聞いた話なんだけど・・・」

 

なんて人が知らないようなことを喋っていると、人が感心してくれるし、なんとなく優越感も感じられて、それが単純に嬉しかったんです。

 

そして知らず知らずのうちに、そういう知識をインプットをすること自体が自己目的化していました。

 

もちろん「知を愉しむ」という意味で、知識を吸収することを趣味とするのは全然悪くありませんし、それが必ずしも役に立たなくても良いと思います。

 

ただ、多くの場合、そんな悠長なことは言ってられません。

 

限られた人生の中で、ペテロ・パウロのように師匠キリストの言葉を世の中に広めることに最終ミッションがあったり、研究者のようにそれを理論化するが仕事であれば、もっと極端にやりきらないと何の役にも立ちませんし、時間切れになります。

 

いずれにしても、私の場合は、あるときハタと

 

「このままじゃいかん」

 

と思ったんです。

 

特に強く感じたのが、

 

自分自身の言葉

 

がほとんどなかったことです。よく考えたら、全部どこかで聞いたような、受け売りの、借り物の言葉ばかりで、自分自身の経験として語れる価値ある経験がほとんどない。

 

そして経験に裏付けれていない言葉はどうしようもなく「軽い」んです。

 

言い換えれば、「誰それがこう言った」ということを語る”人間辞書”としては優秀なんですが、他人の言葉を並べるだけなら、ウィキペディアの方がもっと優秀です。

 

で、周りを見渡してみたら、世の中には

 

自分の言葉で語れる人」と

えらい人の言葉をアレンジしたり、リピートしているだけの人

 

の2種類がいることがわかって相当危機感を感じました。

 

そして自分自身がすごいと思う人は、例外なく独自の専門性を持っていたり、その人オリジナルの経験をベースにした「語れるコンテンツ」を持っていることに気づきました。

 

平たく言えば、誰かの劣化コピーではないということです。

 

では、劣化コピーにならないようにするにはどうすれば良いのか。

 

それが2つめの「アウトプットを前提として、インプットすること」です。1の結論と一部矛盾しますが、アウトプットするにはやっぱりインプットが必要です。

 

 If I have seen further it is by standing on ye sholders of Giants.

 

というニュートンの言葉がありますが、何か価値あるものを生み出そうと思ったら、先人の知識や経験を活かす必要があります。

 

そうなければ、50歳にして「こんなことを新発見したぞ!」と自分で思っていても、よく調べてみたら、1000年前にすでに同じことが発見をされていて、それを弟子たちがさらに発展させていた、なんてことが起こりかねません。

 

これでは人生が無駄です。

 

じゃあ、いかに学び、いかに行動に移せば良いのでしょうか?

 

例えば、自分でそれなりに挑戦した後で、その道のプロが解説しているのを見れば、まったく経験していない人と比べて、吸収できることは、10倍も、100倍も違うでしょう。当たり前と言えば当たり前です。

 

例えば、ドラッカーの本を読んで「真摯さが大切である」ことが頭でわかっても、自分自身がその真摯さに基づいた判断を試される修羅場を経験しなければ、その本当の意味はわからないのでしょう。

 

とすれば、インプットの仕方自体は同じでも、それを実行する前提で学ぶかどうかが、さらに実際に実行して学ぶかどうかで、その吸収性に大きく差が出ることは明白です。

 

ということで「インプット自体が目的化してしまわないように注意すること」「アウトプットを前提として、インプットすること」に気をつけて、どんどん経験を積み、自分の言葉で語れるようになりたいものです。

知らないからできる(TOC)の読書メモ

KPIの取り方の工夫は経営そのものであることがよくわかる一冊。

 

▼設備稼働率をKPIとした場合

 

(メリット)

1)製品の原価率が下がる

 →固定費部分(工場設備や賃料など)が均等割になるので。

 →B/S上は資産として計上される

 

(デメリット)

2)不良在庫が増えてしまう(需要より生産が多ければ)

 →倉庫費もかかる

 →リードタイムが長くなる

   (タイムリーな対応ができない=売り逃がし)

   (店は過剰に在庫を持つ必要が出てくる)

    →やっと完成したとき売れなければ損になる

 

*お店も注文したらすぐに来るのであれば、不要な在庫は持たない方が嬉しい。現金で仕入れてすぐに売れれば効率が高い(10日で仕入れた品が売れたら、2割儲かるなら、トイチより良い

 

▼需要連動生産方式

「緑・黄色・赤」で在庫を見える化するが、定常的に赤が増えている場合は、在庫の適正量自体を変化させる必要がある。

 

システム開発

エンジニアを倍に増やしても、書けるコードが倍に増えるわけではない→むしろ早く完成すれば、キャッシュインのタイミングは早まる。

 

知らないからできる  既成概念を覆す「0(ゼロ)ベース思考」

知らないからできる 既成概念を覆す「0(ゼロ)ベース思考」

 

 

 

ビットコインを巡る仮想通貨と未来の学び方

以前にビットコインについて書かせていただいたのですが、仮想通貨とそれをベースで支える「ブロックチェーン」が来年本格的に様々な分野で存在感を高めそうです。

 

ソニー、教育データを“ブロックチェーン”で認証管理できるシステム

japan.cnet.com

中央監視機構がなく、参加者が相互でデータを持ち合ってデータの信頼性を担保するブロックチェーン技術は、EコマースでもAR、VRでも活用され、インターネット革命の本丸になる可能性がかなり高そうです。

 

そのブロックチェーン技術で可能になった仮想通貨「ビットコイン」も次々と改良版が出てきています。

 

仮想通貨取引会社大手のビットフライヤーにも、取引できるコインとして、ビットコインキャッシュ(BCH)、イーサリアムライトコインMONAコインなどがずらっと並びます。

bitflyer.jp

ただどれかが勝者になるのか、それとも企業のICOInitial Coin Offering)によって独自に発行された仮想通貨(トークン)が主流になるのか現時点ではさっぱり分かりません。

 

ただし、この手のことは他人事で眺めていても頭に入らないので、やっぱり身銭を切ってゲームに参加してみるのが一番な気がします。

 

ちなみに、勉強のために買った十数万円のビットコインは価格が11倍になりました。ただ今月ズドーンと急落し、段々回復してきていますが、ボラティリティの高さは相当
激しいものがあります。でも全く買ってなかったら、こういったニュース自体が全く気にならなかったはずです。

 

財務会計を学ぶのに株を買うのは極めて有効です。海外旅行で現地を体験すれば世界史を学ぶ際にスラスラ頭に入ります。それは単なる知識ではなく、経験だからです。

 

同じようにブロックチェーンを学ぶには、損しても困らない程度で仮想通貨を買ってプレーヤーとして参加してするのが今のところ一番の勉強法です。

消費者の期待値を下げてがっかりさせないAI(人工知能)の「キャラ戦略」

最近、ソフトバンクのペッパー君が、ユーザーに飽きられて首をうなだれている切ない姿をたまに見かけます。マーケティング的に見れば、人の形をしている分だけ、

 

「人間と同じぐらい会話ができるんだろう」

 

という期待値を過剰に高めてしまったがために、そこまで実力がないことがわかって、みんな一気に冷めてしまったという状態です。世界最先端のクラウドAIに繋がるGoogle HomeAmazon Echo、IBMのワトソンにしてもまだまだ

 

「自然に話せる」

 

には程遠いレベルにあります。

 

したがって、グーグルやアマゾンが、デバイスを人型に似せないで、無機質な単なるスピーカーの形状にして発売したことは、

 

「消費者の期待値をそこまで上げない」

 

ことで「がっかり度」を大きくしないための戦略として極めて正しいと思います。

 

一方、LINEのスマートスピーカー「クローバフレンズ」がオリジナルキャラ「ブラウン」「サリー」をモチーフにして”可愛さ”を前面に出しているのはかなり賢いと思います。

 

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www.so-ra-no-i-ro.com

なぜなら、喋りかけているAIが、かわいいクマさんやアヒルさんだとわかれば、多少トンチンカンな返答をしてきても

 

「まあ、クマさんだからしょうがないよね」

 

と、なぜか笑って許せてしまうからです。つまり、キャラによってユーザーの期待値を自然に下げさせることが容易なのです。

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□AIにキャラを持たせる工夫

 

もちろん、ペッパーもそこは十分意識して開発されており、Google HomeApple Siriが比較的無感情・無機質な応対をするのに比べ、ペッパーは「皮肉屋」のキャラを演じて自虐ネタを言ったりします。

 

ペッパー開発者の林さんも、メディアのインタビューで

 

「キャラを持たせた方が、人間のリアクションを予想しやすく
 自然な会話に誘導しやすい」

 

と答えています。

 

ただ、やっぱり形状が人型である限りは、ユーザーの期待値を下げるのに限界があるので、ペッパーのポジショニングには難しさが付きまといます。

 

もちろんペッパーはクラウドAIと繋がっているので、今後バックグランドのAIが賢くなれば、それなりに消費者の期待値に近づいてくるはず。そのスピードを上げられるかが、ペッパー君がスクラップ工場行きになるかどうかの運命を決めそうです。

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ドラえもんブレードランナー

AIにキャラを持たせる試みは、マイクロソフトの「りんなちゃん」をはじめ、各社が取り組み始めています。

 

りんな (人工知能) - Wikipedia

 

またビデオゲームの「龍が如く」が、本物の俳優・女優をモチーフにすることで、完全な創作キャラよりもリアリティを出すのに成功していることも、同じ線状にある話です。

 

そっくり!【龍が如く】の登場人物がモデルとなった芸能人に似すぎている

matome.naver.jp

元をたどれば、ドラえもんでも鉄腕アトムでも、日本のロボットはキャラを持っていたわけで、案外キャラ付きAIが本格的に社会に浸透し始めると、最も早く普及するのは日本かもしれません。


AI=アンドロイド(レプリカントと呼ぶ)と人間の混じり合った世界をいち早く予見し、生命モラルを含めた深遠な問題を描いたのが1982年公開の映画『ブレードランナー』(原題:Blade Runner)です。

 

ブレードランナー - Wikipedia


今年10月に公開された

ブレードランナー 2049」
 

www.bladerunner2049.jp

は、人間の生命に関わるさらに踏み込んだ問題を提起していますが、


もともとレプリカントが「人間らしくなる=キャラを持つ」
ための工夫として考案されたのが、

 

「誰かの記憶を埋め込む」

 

いう手法でした。

 

ただ、レプリカント自身が自分の記憶が自分の経験したものなのか、外から埋め込まれたものなのかわからないために、アイデンティティクライシスに陥り、人間と同じように、というより人間以上に人間らしく苦悩します。

 

ただ「機械学習」が進むと、AIは本当に自律的に”学ぶ”ようになるため、より人間的になり、人間が記憶を埋め込まなくてもアイデンティを持つようになるかも知れません。

その時は、Googleは今のような単なるスマホOSではなく、まさに本物そっくりの人型ロボット

 

「アンドロイド」

 

を発売することになるでしょう。

ガンバリズムからマネジメントコントロールへ

守島先生のコラム。深い。

 

business.nikkeibp.co.jp

 

ユニクロもそうだけど、現場のガンバリズムに過度に依存しない「仕組み」としてのマネジメントコントロールがこれからの日本に必要とされているんだと思う。

 

「欧米は職務主義ですから、各人の業務範囲が決まっています。不都合が出てきた場合、人を増やしてその範囲をカバーするのか、すでにいる人の範囲を広げてカバーするのか、経営側が判断します。

 

こういう言い方をすると突き放したように聞こえるかもしれませんが、日本の状況を考えると、今は現場に期待できない時代です。現場は判断を間違えるものです。火事場の馬鹿力に頼るのも限界があります。回らなくなっていることを前提に、経営側の責任で現場をデザインし直す必要があります。」

 

カフェの回転率を上げる質問はないか?

パン屋がやっているカフェ。奥のカウンター席が混み合っていてまったく座れない。

 

その一方、2人がけテーブルをくっつけた4人席が4つあり、4名席を一人で占拠しているシングルのおじさん(おそらく65歳以上)が各2名、同じくおばあさん1名、そして2名のおばちゃんが4名席を陣取っている。片方のおじさんは新聞を読んでいて、もう一人は目を閉じてじーっとしている。おばちゃんは書き物をしており、2名のおばちゃんは妙に盛り上がっている。

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もし私が店長か飲食コンサルだったとして、うまく詰めて座ってもらうには、どう声がけをするとベストなのかなと、考えてみる。

 

飲み終わったカップを下げて暗にプレッシャーをかけるという手はあるけど、もっとスマートに、彼らが自分で気づいて、余っている席を気持ちよく譲れる仕掛けはないか?

 

すごいソルーションが見つかれば、店の回転率は一気に上がるに違いないし、これからシニアは増える一方だから、ニーズは多いはず。

スリランカをめぐるインドの巻き返し(ハンバントタ空港)

今週いかにも国際政治的なヒリヒリするニュースがありました。

 

「インド スリランカの国際空港の運営権めぐり協議 」(NHK

 

ご存知の通り、中国とインドはあまり仲が良いとは言えません。そこでお互いにいろいろな戦略を展開しているのですが、その中でよく知られているのが「真珠の首飾り」戦略です。

 

真珠の首飾り戦略 - Wikipedia

 

軍事を含めた海上交通路戦略なのですが、それがインドを取り囲む包囲網のようになっており、インドは当然それを快く感じていません。

 

インドの首元にあるスリランカは、内戦終結のために中国に対して膨大な借金をし、その上、公共工事も中国からの借金(年利6.0%以上)でまかなって、南部のハンバントタの港を開発しました。

 

当然ながら、歳入の95%を借金の利払いに当てなければならないほど財政がボロボロのスリランカに借金をスムーズに返せるはずもなく、ハンバントタ港を中国に99年間にわたって貸し出すという形になったのです。(なんとなく財政破綻したギリシャに似ています。)

 

言い換えれば「借金のかたに取られた」のですが、そもそのなんでスリランカもこんな暴挙を行なった言えば、中国と蜜月状態だったラジャパクサ前大統領が、かなり賄賂を受け取っていたことが分かっています。

 

中国側が、上記のハンバントタ港を軍港利用する計画がその後判明し、住民から反対運動が起こっていますが、おそらく後の祭りです。

 

一方インドもここに中国の軍事拠点を作られることを相当懸念しています。(ケネディとフルシチョフがやりあった「キューバ危機」における、アメリカとキューバとの位置関係と同じだからです。)

 

今回のニュースが面白いのは、そのハンバントタ港の近くにある、ハンバントタ「空港」をインドがリースで借りるという交渉なのです。

 

23日行われたインドとスリランカの首脳会談で、スリランカ南部にある国際空港の運営権のインド側へのリースが議題だったことがわかり、インドが近隣の港の運営権を獲得した中国の動きの監視を狙って協議を進めているものと見られます。

 

ハンバントタ空港は、中国から借金して作られた最新の空港ですが、ぺんぺん草が生えるぐらいかなり寂れていて、飛行機がほとんど飛んでいません。1日の利用者も10名程とのことで、そもそもニーズがないのです。

 

これも「なんでそんなところに空港ができたか」というのは明確で、ラジャパクサ前大統領の地元だからというわかりやすい理由です。(かつての?)我が国の某党の政治家を彷彿とさせます。

 

ラジャパクサは前回の大統領選挙で汚職を追及されて敗北し、現在はシリセナ大統領になっています。

 

ハンバントタ空港をインドに貸し出し、国内の軍事的なバランスを取ろうという戦略は、危ういですが、かなり高度な政治的な駆け引きであろうと思います。

 

「インドが世界で最も利用者の少ない空港を買収、中国をけん制か」(Business Insider)

www.businessinsider.jp

 

今後もスリランカから目が離せません。